もっとも、業界のこうした施策(方針決定)が会員企業間に有利・不利の差異をまったくもたらさないですむかとなると、そうではないだろう。それによる影響は、それぞれの企業の事業内容の特色や規模などによって異なってくるからである。第二に、こうした“横並び”施策をもたらすことができるのは、当該の業界団体のほかに、政府(自治体をも含む)がある。政府が法令等によって関連の全企業に適用される施策を設ければ、原則として全企業はそれに従わなければならなくなるわけで、競争上の有利・不利の問題は最小限におさえることができるはずである。げんに企業関係者の間では、「企業のモラルとか社会的責任とかを抽象的にいわれたり、自主的な努力を要求されたりするよりも、いっそのこと、法令等によって企業の為すべき事を義務づけられるほうが、競争上もフェアーで、すっきりしてよい」という声が聞かれないわけではない。けれども、こうした政府の施策は、いうまでもなく公権力による民間活動への介入であり、日頃政府によるさまざまな規制の緩和・縮小を求めている私企業の立場からすれば、公権力の介入よりも民間の自主的対応にまず期待するほうが望ましいことは、多言を要しないだろう。