従来の歯科治療の最後の比較として、インプラントと比較してみよう。健康な歯を削るのはイヤ、ひと目で入れ歯と分があるのもイヤという人のために、インプラントという選択もある。説明の必要はないかもしれないが、インプラントは人工歯根のことだ。顎(アゴ)の骨に人工歯根を植え込み、そこにセラミック製の人工歯を装着する。自分の歯と同じように噛めるため、天然歯、入れ歯に次ぐ「第三の歯」と言われている。高額になるが保険診療は利かず、自費診療になる。「インプラントには、入れ歯やブリッジにはないよい点もあります。上手な歯科医にかかって治療がうまくいけば、費用はさておくとして、何も問題はないでしょう。自分の歯のように快適に噛むこともできるでしょう。しかし、うまくいかなかった場合、悲惨な状況になります。知り合いの歯科医からも、インプラントの撤去が増えているという話を聞いたことがあります」インプラントはどの歯科医でもできる治療ではない。しかも、患者さんの口の中の状態によっては、非常に難しい治療になるケースもある。熟練した技術を持つ歯科医であればよいが、技術レベルに差があることはよく指摘される。未熟な技術しか持たない歯科医がおこなった場合、さまざまな問題が発生する。私の聞いた話では、インプラントが数ヶ月しか持たなかったといったケースすらある。しかも下顎(アゴ)で約3ヶ月、上顎(アゴ)では約6ヶ月も流動食を食べなければならない。そんな苦労をしたあげく数ヶ月しか持たなかったり、合わなくて撤去しなければならないのでは、泣いても泣ききれない。たとえそんな事態になったとしても、治療費を返してもらうこともできない。「治療に失敗してインプラントを撤去すると、顎(アゴ)の骨には大きな穴が開きます。その穴を埋めるために、周りの骨が吸収されて自然な顎(アゴ)の形が崩れます。そのうえ、撤去するときに顎(アゴ)の骨を削りますから、歯ぐきはさらに磨り減って、見る影もなく細ってしまいます。そういう顎(アゴ)に合う入れ歯をつくることは、至難のワザです。普通の歯医者さんや歯科技工士ではとうてい不可能でしょう。かといって、そこにまたインプラントを埋めるわけにもいきませんから、治療の選択がなくなってしまうことになります」MTコネクターには、顎(アゴ)の骨に穴を開ける手術も不必要だ。手術のリスクがないうえ、失敗して撤去しなければならないこともない。先生には、インプラントで失敗した患者さんの入れ歯をつくった経験がある。「とにかく大変な作業になりました。何とかやり遂げましたが、『これならインプラントにせず、最初から入れ歯にしておけばよかった』と患者さんから言われたものです。インプラントの前に、MTコネクターを試してみてはどうでしょうか、と言いたいですね」ただし、基本的にMTコネクターの総義歯はできない。あとでお話ししたいと思うが、その際1本のインプラントでMTコネクターを使うこともできる。